日商簿記1級 独学の思考法

たっぷり紙面を使い、それぞれ背景の異なる生徒が、改革の影響をどのように受け、背景の違いによって、問題の表れ方や乗り越え方が違うことか描き出される。
こうした手法は、この記事に限らない。 問題が形をなす背景の多様性への目配りが利いている。

あえて比較すれば、日本のメディアは、特異とも言える1つの事件を手がかりに、その背後に共通する問題を探ろうとするのに対し、アメリカのメディアには、日本の方法とは逆の視線を感じる。 アメリカでは、政策をめぐる報道では経済や雇用といったマクロな問題との関係がストレートに示され、個々の教育問題については、いくつもの物語を手がかりに、背景の多様性に目配りがされる。
もちろん、アメリカと日本では、社会も違うし、教育の問題の質も異なる。 だが、ひょっとすると問題をとらえる視線の違いが大きな理由のひとつかもしれない。
外に出てみると、問題をとらえる際の日本流の視線が気になるのである。 教育改革をめぐる議論がかまびすしい。
なるほど、「奉仕活動の義務化」とか、「小中学校の学校選択の自由化」といった目新しい話題は、人びとの耳目を引く。 それに比べ、今後の議論の発展によっては、教育改革を考えるうえで重要な見解となるに違いないのに、「学習指導要領」(学校で教えるべき内容を定めている)をめぐるM部省(当時)の新たな方針の表明に対して、マスコミの反応は鈍かった。
「学習指導要領は、最低基準であり、理解の速い子には、より高度な内容を教えることも可これまでもそうした建前ではあったが、現実には、全員一律の対応になっていた。 このため、今回は、この趣旨を現場に徹底する。
同時に、選択教科の拡大やいわゆる習熟度別学習指導など多様な指導方法を通じて子どもの個性や能力に応じた指導を進めていく」つまりは、学習指導要領は最低基準(ミニマムースタンダード)であり、しかも、これまで「建前」にすぎなかったその趣旨を、今度は「現場に徹底する」というのである。 今までは、教える内容の「上限」を示すものとして運用されてきたことを思えば、指導要領の大きな方針転換を意味する。
ところが、この見解の波紋は意外にも広がらなかった。 わずかに『N本経済新聞』が連載「教育を問う」で、これに触れたにすぎない(2000年十月30日朝刊)。

しかも、その記事によれば、各地の教育委員会が、その真意について直接M部省に問い合わせた形跡は見当たらなかったという。

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